おりの中のライオンは
撃たれないと 知っている だけど
空っぽのおりが
眠りから解き放す
ちぎれたくさりの
軽さがはばたき
ぼくは サヴァンナへ行くんだよ
砂漠を越えて
たんぽぽ畑に横たわり
黄金色のたて髪が
燃える丘にのぼろう
そう 灼熱の太陽にやかれ
風の歌に戯れながら
土の温もりにまどろもう
ライフルに裂かれるまでに
ぼくは 一つぶの世界になるんだ
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あさとひるが結婚して
よるが生れた
「どうして こんな子が?」
驚いても あとの祭
よるは生れた 歓迎されず
よるは生れた すっぽりと
愛しあう度 よるが生れた
うずめても うずめても
すきまから よるが出てきた
子宮のあたりでうごめいて
すっかり 夜になった
あさは輝いても
よるはいつかきた
ひるに微笑んでも
よるはいつかきた
ふとんに入って 夕暮れの夢を見ようとしたけど
しんとうしてきたよるにしんと
むね打たれ 泣きたくなった
子供はおっきくなった
大人になった
歌が消えていった
そして 大人には 夜 しかなくなった
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戸棚の向うに
机の中に
僕らはみつける
六色の虹
いつも何色かが
欠けている虹
だが 僕らは いつも
それを見つけると
美しいと感じてしまい
欠けた色をも忘れてしまう
うれしくなって かけずりまわって
そして又、茶碗の中にも
欠けた虹を見つけてしまう
虹はいたるところで
そのびっこな輝きで
僕らの道を照らし
夜の暗さをほうむる
僕らは色あせてゆく
影に腰かけ りんごをほおばる
虫食われ 青ざめたその表面にさえ
虹をたぐる
すべるには
ぴかぴかすぎて
反響した色を
調和できぬまま
楽しませてくれる虹に
いつまでも舞い上がり
表面をすべるとフト
欠けている色を思い出す
でも僕らはまた
輝きに眼を奪われる
笑い出す
空虚からさえ
乾いた笑いを
シニカリズムを
そうやって
溺れていても
気持ちいいものだ
にせものの虹でも
美しいものだ
僕らはそうやって
あぶなっかしい
夢を見てるしかないのだろうか?
欠けてる虹を
追いかける足を失くしたまま
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桐朋女子高等学校音楽科、桐朋学園大学音楽部ピアノ演奏学科卒業後、
パリ コンセルヴァトワールに留学.現在は大使館に勤務.フランス在住
わ た し は 正 し い の か ?
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