ゲルバーの両親はともに音楽家であった。
父親は南米唯一のオペラハウスでトスカニーニ、フルトヴェングラー、エーリヒ・クライバーらが訪れて
第二次世界大戦以前に全盛期を謳歌していた(世界三大オペラ劇場の一つ)テアトロ・コロン劇場のヴァイオリン奏者であり、
母親はピアニストであった。
4歳から母親のもとでピアノを始めたゲルバーは46年から各教師ヴインチェンツオ・スカラムッツァ(Vicente Scaramuzza)の
門を叩くようになり、一気に才能を開花させてゆく。
しかし1948年に小児麻痺にかかり、闘病生活を余儀なくされるが、不屈の精神力と努力でこれを克服し、
1951年には、9歳の時、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番をもってピアニストとしてのデヴューを飾っており、
1956年、テアトロ・コロン劇場でトスカニーニ追悼演奏会にローリン・マゼール指揮で
シューマン ピアノ協奏曲を弾いて脚光を浴びる。以来、神童としての名声を欲しいままにしている。
1960年フランス政府の給費留学生として選ばれ、渡仏、マルグリット・ロンに師事、
61年にロンテイボー国際コンクールで第3位となっている。
この成績には当時の聴衆からはブーイング、本人も不満であったようだが、ゲルバーの演奏には多くの賛辞が贈られる。
ゲルバーはまた、ライトナー、テンシュテット、ラインスドルフ、マズア、チェリビダケ、コリン・デイヴィス、
デュトワ、ハイティンク、マゼール、ロストロポーヴィチ、シャイー、エッシェンバッハ、サロネンなど、
多くの名指揮者と共演している。また、ベルリン・フィル、ウィーンフィル、ウィーン・ムジークフェライン、
チューリヒ・トーンハレ、スイス・ロマンド管、モントリオール管、NHK響、オルフェウス室内管、パリ管、
フランス国管、ロンドン響、フィルハーモニア管、ロイヤル・フィルなど、著名なオーケストラや協会に出演を重ねている。
89年に東急Bunkamura オーチャード ホールのオープニング セレモニーに招かれ、
ベートーヴェン ピアノ協奏曲を全5曲演奏し、大好評を得る。
さらに、ミラノ・スカラ座での演奏のほか、ザルツブルク、グラナダ、エクサンブロヴァンス、ルツェルン、
チューリヒ、大阪国際フェステイバルなどの音楽祭に招かれている。
米国ではスタンフォード音楽祭に招かれたほか、ニューヨーク・フィル、フィラデルフィア管、クリーヴランド管等と共演。
カーネギーホールでの演奏は、辛口の批評家として知られたショーンバーグから絶賛された。
ゲルバーはオーストラリアへもツアーを行なって大成功を収め、現在も広範なツアーを続けている。
近年も、ヨーロッパ(ベルリン、パリ、アテネ、ウィーン、ロンドン、ドイツやイタリアの各地など)のみならず、
米国へも以前と変わらず頻繁に訪れ、
さらにロシアではモスクワのチャイコフスキー音楽院でスピヴァコフの指揮の下、ロシア国立交響楽団と共演した。
レコーディングはすべて世界的に高い評価を得ており、ラフマニノフピアノ協奏曲第3番の
ライブ録音CDが、金賞を受賞。
ACCディスク大賞を2回とADFディスク大賞を受賞している。EMIからはブラームスの協奏曲集、
ベートーヴェンの3番と5番のピアノ協奏曲、ロマン派のソナタ集などをリリース。
デンオンに録音したベートーヴェンのソナタのうち、最初のものはニューヨーク・タイムズ紙の
1989年最優秀録音のひとつに選ばれている。
4枚組のこのシリーズについてCDレヴュー・マガジン誌は、「まったく私の聴いた中で最も優れたディスクだ…他にも
褒めることは出来るがその必要はない。彼はかけがえのないピアニストであり、
まさにこのシリーズは必聴すべきものだ」と述べている。
その他に、ブラームスのソナタ第3番、ラプソデイー、ヘンデルバリエーション、ブラームス協奏曲集、
ショパン ピアノ ソナタ集 などの録音がある。
今世紀の最も偉大な100人のピアニストに選ばれました
かのフランスの高名なピアニスト、マルグリット・ロンのあつい薫陶を受け、その豊かな造形力と
あふれんばかりの詩情性は、今世紀ピアノ界最大の発見とまで感嘆せしめた天才ピアニスト、ブルーノ レオナルド ゲルバー。
1968年に初来日した折、「非凡の才能と可能性」「天分豊か、巨匠の域」「若き天才ゲルバーへの絶賛の嵐」
「独創の発芽聴かせる」「引き込まれる美しさ」とまでの高い評価を受け、正統派の大器ゲルバーの名演は
人々の心に新たな感動をもたらしました。
パリ、ロンドン、ベルリン、などのコンサートホール、ザルツブルグ音楽祭をはじめとする一流フェステイバルの常連として、
ヨーロッパおよび世界各国で確固たる地位を築いているゲルバーは音楽に対するゆるぎない情熱と精神的な充実により、
重厚で格調高い演奏を聴かせる正統派ピアニストとして、我国にも数多くのファンをもっています。
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仏 デイアパーソン誌
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Photo © Steinway & Sons
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